④ フクミミ家 食卓の風景

2016年12月 9日 (金)

大黒さま

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シェフが大黒さまへお膳をふたつ上げた。大黒さまのメニューは
・ハタハタの田楽
・豆腐の味噌田楽
・黒豆のナマス
・黒豆ご飯
・納豆汁
・サラダ
になる。他にデザートとして黄な粉味のオコシ(御越し?)が供えられた。大黒さまがお膳で充分召し上がれた後、わたしたちもいただくことになる。

イナカーナにおける大黒さまというのは『大黒様のお歳夜』と呼ばれ、毎年12月9日の夜に行われ、ハタハタの田楽をメインデッシュとして食べる習わしである。卵を抱えたハタハタや黒豆を食べることで豊作、子孫繁栄を祝う。ちなみに大黒さまは次のようなお顔とお姿をしておられる八百万の神様の中の御一人。

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以上。



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2016年10月26日 (水)

シェフ 芋を掘る

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シェフは畑から芋を掘り、茎の皮をむいた。茎は乾燥させて正月の雑煮に使うことになる。
西日本のような具の多い雑煮に比べればたいへん地味だが、この味で育った。

そんなことで―天気がいいと働いてしまうので―シェフも外出ができない。


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2016年9月15日 (木)

祭りの膳が届いた

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午後、祭りの行列の音が聞こえた。そいいえば、朝、知り合いが裃(かみしも)をつけて通りを歩いていたのを見かけた。この時期、思い起こせば暑い印象が強い。少し昔、祭りの日の午後、親戚の面々が玄関に靴を脱いだ。スーツにネクタイ姿の親戚はまず茶の間で挨拶を終えると仏壇に手を合わせ、のし袋を出した。

座敷に席を移した親戚とわたしたちは遠くに祭りの音を聞きながら、座敷の大きな窓を開け、扇風機を回し、ビールを注いだ。「今年も暑いね」「そうですね」「お体、大丈夫でしたか」「・・はあ、なんとか」「だれそれは、どうしています?」「はあ、あの人はやっぱりね・・」などなど。やがて、ビールが日本酒になり、日本酒はそのまま日本酒のままで、親戚は酔ったり酔わなかったり、相槌を打っても果たしてどこまでわかっているんだか、なんだか・・。やがて2時間か3時間過ぎた頃、手を付けなかったお膳とおみやげを持った親戚は迎えの車で「今日はたいへんお世話になりました」と繰り返し言っては三々五々、帰る。

親戚の多くが亡くなり、この家も祭りの時代を終えた。





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2016年6月15日 (水)

毎日がエンドウ

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毎日、エンドウが食卓にあがる。甘いスナップエンドウは茹でてそのまま食べる。ドレッシングなしでエンドウそのものが甘い。絹さやエンドウはみそ汁へ、食べる時の筋取りが楽しい。ヤキトリの串を抜くように、エンドウの筋を口から抜く。夕飯はエンドウ豆の炊き込みご飯になる。シェフは大量のエンドウの保存方法をネットで調べるように言ってきた。

そういえば筍の時期もそうだった。毎日が筍三昧になった。畑をやる知人からは収穫物が多くて手に負えなくなると、よく「いらないか?」攻撃になる。


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2016年5月21日 (土)

イチゴを買いに

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イチゴを買いに砂丘に出向いた。イナカーナ、州の西側に砂丘が広がる。その砂丘地を利用して松林の間には多くのハウスが立ち並ぶ。そこで獲れたイチゴが目的である。メロンの時期もそうだが産直の店は朝からにぎわい、イチゴ目当ての客は品定めに目を凝らす。

今月はアオ太の誕生月なので、箱入りのイチゴを送った。



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2016年5月11日 (水)

孟宗

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イナカーナ州は南西、海坂の奥に孟宗の山里がある。この時期、朝採りの孟宗が店頭に並び、求める客で朝からにぎわっている。その山里の温泉地からシェフが帰ってきた。一泊ではあったが昨夜の料理は孟宗づくしだったそうである。孟宗汁、筍ご飯、焼き筍、筍の天ぷら、筍の煮物などなど。もちろん、最初からシェフたちの目的は孟宗料理だった。この山里の孟宗は産地だけあって実が柔らかく、えぐみも少なく、歯ごたえがいい。

今は千葉に住む親戚がいる。元々は海坂の生まれで幼い頃から当家と行き来があった。長い海外勤務を終えて先年退職した彼(親戚)が海坂に来たことがあった。やはり、この季節で目的のひとつがこの地の孟宗だった。一晩、温泉に宿をとり彼と伴侶は孟宗料理を堪能して帰った。

その親戚に限らず、育った地で印象に残る食べものが誰にでもある。彼の場合、孟宗だったことになる。



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2016年1月12日 (火)

冷え込む

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明朝は冷え込むと予報があった。そこで、毛布を一枚布団の上に横掛けにして休んだ。それでも肩あたりが寒くて目を覚ました。おまけに暖房タイマーを間違えて設定し、朝6時20分にスイッチが入らなかった。

教訓は次に生かすためにある。



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2016年1月 2日 (土)

今年もおせちは・・

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3年前だったろうか、コンビニに高価なおせちを注文したことがある。届いたおせちはりっぱなボックスに入り、薄い紫色の上品な布に包まれ、桐箱に模した容器三段重に詰められていた。高いだけあって見た目は豪華で最大限気を使ったおせちだったが、少ない量から切り詰められた原価もうかがわれ、箸を付けた途端に魔法が解けてしまった感があった。

というわけで今年もおせちは頼まない。シェフが作った料理を食している。干した大根をカリカリと・・・ね。


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2015年10月31日 (土)

赤カブの買い占め

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シェフの依頼があり、産直の赤カブを買い占めた。全部で9袋あった。もちろん、投機目的などではなくフクミミ家の冬の保存食となる。ざく切りか千切りにされた赤カブは酢で真っ赤になる。白陶器に盛られたカブの赤は冬の食卓の彩にもなる。そのための買い占めである。



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2015年10月16日 (金)

スープが逃げる

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また、カニに逃げられてしまった。よく、あることである。カニがきた当日に調理すればいいのだが、シェフの体調もある。遠慮があるから、調理はまかせることになる。結局、それで逃げられてしまう。

ここで言うカニとは川ガニのことである。以前、フクミミの知人が秋になると毎年のように川ガニを持ってきてくれた。口を縛られた厚手の袋に入った状態で川ガニをいただくのだが、毎年のようにカニは逃げた。袋の口はヒモで縛ってあるのだがカニの力は強い!ある年は座敷の畳の上で、ある年はふすまと壁の間でもがいていたカニをわたしは見つけた。秋の深夜、正体不明の音を屋内で聞くと、カニの確率は高い。

今年は町のまつりで川ガニを購入した。もう、随分前になるが、K元首相のかけ声で地方の合併がなされ、イナカーナ州も川が生活の一部になっている町と一緒になった。その町の方がまつりで川ガニを売っていた。

カニは今回、売られていた網を切って夜の闇の中へ逃亡した。明日、カニスープになる予定のカニたちは袋から出るとあたりの様子をうかがった後、時々止まって考えたふりなどをしながら、遙か彼方の川を目指した。



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