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2016年4月20日 (水)

デンキウナギ

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先の日曜、NHNスペシャル「大アマゾン・最後の秘境」でアマゾンに潜む魚たちがとりあげられていた。ドローンを使った空撮や岸辺から見るアマゾン川は濁流のため水の中を見ることができない。その広大なアマゾン川で湧き水で水が透明な場所があり、珍しい魚たちが紹介されていた。ピラニアなどの肉食の獰猛な魚たちや大ナマズ、巨大なピラルクや怪魚が潜むアマゾン川だったがその中に“デンキウナギ”もいた。番組のデンキウナギは近づいた小魚を見えない電気で痺れさせ、パクッと口にした。

イナカーナに近年クラゲで名を馳せた水族館がある。今やクラゲに特化した水族館として有名になったがかつては州の助成もなく、数人の従業員が懸命に働くが一日の入場者も数えるほどでいつ廃館になってもおかしくない、水漏れする水槽さえ修理ができない貧乏な水族館だった。

しかし、水族館従業員は自ら稼がなけばならない。糊口をしのぐために少ない予算で様々な企画も立てた。ラッコという流行に乗ろうとした企画もあったが彼らのエサ代で逆に赤字になる始末。水族館のアクセスも悪く年々、客足は減った。

それより昔、水族館で―筆者の少年時代―最大の呼び物が“デンキウナギ”だった。海のすぐそばに残る旧水族館は古い鉄筋コンクリートの建物でその暗い回廊に小さな水槽が並んでいた。その奥にデンキウナギはの水槽はあった。デンキウナギは体長約70センチくらいだったろうか。顔を見ても、うれしいのか悲しいのか表情はまるでわからない。じっと見ているとなにかの拍子に、水槽上に取り付けられた電光掲示板に“○○ボルト!”と表示が出た。その後、入場した大人も子どもも水槽のガラスを叩いては「わぁー、○○ボルトだ!」と騒ぎ、デンキウナギはその度に電気を起こした。何年かして、デンキウナギの水槽はなくなった。それがウナギの寿命だったのか、ガラスを叩かれたストレスで胃潰瘍になったかどうかまではわからない。

後年、この水族館はクラゲを手掛かりに―そばの海で無料で採取できたクラゲ―併設する食堂でクラゲ入りアイスやクラゲ入りラーメンまで出すようになる。後年、ノーベル賞を受賞した日本人科学者がその研究用にクラゲを自ら採取していたことがテレビで紹介された。ノーベル賞受賞後、有名新聞社主催で受賞科学者の講演がもたれた。そのついでに呼ばれたクラゲ水族館館長の貧乏で苦労な話が記者たちに受けた。このことで、クラゲ展示のイナカーナ水族館が一気に注目を浴びることになる。

クラゲの興隆時代以前にデンキウナギで耐え忍んでいた時代がこの水族館にはあったのである。


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