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2015年3月 5日 (木)

アメリカン・スナイパー

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監督クリント・イーストウッドの映画『アメリカン・スナイパー』を観た。先のアカデミー賞は6部門にノミネートということだったが、実際に獲れたのは音響編集賞だけだったと記憶している。

映画終盤、イラク市街の空撮でヘリコプターの音が後ろから近づき頭上を通り、画面へヘリコプターが現れるや前方へ音と共に飛んでった。ヘリコプターの爆音に最初、振り向きそうになった。

原作はクリス・カイル。イラクでの実体験を基に自伝を刊行した。イラクの反政府武装勢力の兵士たちを160人射殺。カウボーイのような生活をしていたテキサス男があの<3.11>を機に愛国心から30歳にして入隊。射撃の才能を認められ、スナイパー(射撃兵)となる。

クリスは敵に組する子ども、女性から兵士、狙撃兵まで160人射殺という伝説の狙撃手。生存中から伝説になどなるものではない。当人の苦しみなど、他人はわからない。

主役のブラッドリー・クーパーは本作品でプロデューサーまでしている。ということは、彼が原作の映画化権を獲得後、イーストウッドに監督を打診したのだろうか・・?一俳優としてブラッドリーは大変意欲的だが役柄としての深みは出せなかったように思う。これは脚本の力不足かもしれない。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)もこの作品では大きなテーマ。そういえば、日本の自衛隊がイラク戦争へ派遣され(サマワ5,500人、クウェート3600人)、帰国後25人が自殺したという記事を最近読んだ。防衛省はその因果関係は分からないとしている。ましてや、戦争の最前線にいたアメリカ兵、その後遺症は比べようもない。

それでもなお、アメリカは銃の国である。国の正義と威信と秩序のために戦いを止めることはない。その戦いにどういう形にしろ参加しようとするアジアのある島国も混乱するわけである。やられたら、やりかえす・・・の?

イーストウッドの演出は奇をてらうことなく正統的で重厚で、リアルな銃撃戦といい空撮といい細部に至るまで手抜きがない。84歳で凄い。さて、『アメリカン・スナイパー』という映画の出来は・・。イーストウッドが2度もアカデミー賞を獲っているということもあり、分が悪かったこともあるだろう。それ以上にアカデミー会員という観客もまた作品に対して正直なものである。


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