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2015年3月26日 (木)

狗賓童子の島

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『狗賓童子(ぐひんどうじ)の島』(飯嶋和一・著 小学館 2015年2月刊)は隠岐の島を舞台とした幕末から明治へかけての庄屋たちの物語である。弘化三年(1846年)陰暦五月、この島に大塩平八郎が起こした乱(1837年)に加担した庄屋、西村履三郎の子息、常太郎(15歳)が送られてくる。常太郎を迎えたのは隠岐の島、有木村の庄屋、黒坂弥左衛門。隠岐の島を管轄するのは海を隔てた松江藩。藩の圧制と農漁業に従事する島民の貧しさ。島民をまとめる庄屋たちの苦しみ。そして、アメリカの通商使節を迎え、国内は開国、攘夷と揺れ続ける。この混乱の時代に島はどう対応し、動いたのか・・・。

この歴史小説ではじめて<大塩平八郎の乱>がどういうものだったのかを知ることになった。与力、大塩平八郎が庶民たちの生活の苦しさを見かね蜂起し、豪商を襲撃する。日本史の授業ではほんの二、三行で終わるだけの出来事の背景を小説という形で知る。

知るといえば次々に出てくる。隠岐の島は江戸時代、犯罪者が流された。島の庄屋たちの役割。島の立地による作物の違い、生活手段の違い。漢方という医療方法。江戸時代の伝染病とは。米の育て方。廻船の興隆、つまり、江戸時代の物資流通。米の価値、農民は生産した米のどれほどを受け取れたのか?藩の横暴、幕府の無能。隠岐騒動とは?

著者の綿密な取材、作品としての構成、多くの登場人物や出来事を通して時代を俯瞰して捉える力。飯嶋和一の寡作がよーくわかる作品である。



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