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2013年8月21日 (水)

風立ちぬ

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宮崎駿の映画<風立ちぬ>である。過去の宮崎作品を見ていればこの監督の好きな素材(雲、飛行機など)は今回も存分に描かれている。それにストーリー、主人公の子どもから少年時代のあこがれ(飛行機のパイロット→飛行機設計士)があの戦争へ向かう時代、それら全てを含む社会という抑圧の下でこうならざる得ない設計士の描き方となっている。

主人公の妹。宮崎が描く子どものしぐさは特徴を捕らえていて思わずニヤリとさせられる。これが画けるのだから宮崎作品なのである。冒頭からの主人公の空想、想像、夢の自由さ、それらの現実との交差もうまい。中盤には影を効果的に使ったドイツの表現主義のようなシーンも。キャラクターとして良かったのは主人公の上司の黒川だろうか。

印象派のクロード・モネの絵に「パラソルをさす女」がある。主人公が再会した少女が絵を描くシーンの構図がそっくりなのだが、宮崎がそれを知らない筈もなく、これはご愛嬌。

煙草のシーンにクレームをつける団体や零戦(戦闘機)を設計する人を主人公にすること自体が問題だと声高に非難する国があったりするが宮崎自身にとっては全て筋違いのこと。煙草なんてあの時代は当然だったし、飛行機が戦争に利用されないわけがない。

関東大震災、地震にはじまる不気味さ。終戦へ向かう頃の零戦をはじめとする戦闘機の累々たる残骸。一個人の正義、反抗、抵抗など全て飲み込まれてしまったあの太平洋戦争。最大の犠牲者が国民なのは自明のこと。

今回<風立ちぬ>が子どもにとって退屈なのは正直な証拠。その分、大人であるわたしはゆっくりとした丁寧な描き方の時代、社会、せつない青春を存分に愉しませてもらった。

なにせ、主人公、二郎のように子ども時代は蚊帳を吊って寝ていた。しかも、蚊帳の中から捕まえてきて部屋に放ったホタルの点滅を眺めながら・・ね。





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