« 海にて | トップページ | ナンダコレ? »

2013年7月25日 (木)

緑衣の女

20130725_dscf8694


アイスランドの作家、アーナルデュル・インドリダソンの『緑衣の女』(東京創元社、2013年7月刊)を読む。昨年の『湿地』をも上回る作品に仕上がっている。暴力を描いている。弱者への暴力、ましてや家庭内暴力である。アーナルデュルの作風はとても正統的だ。ミステリーという形をとってはいるが人の窺い知れない心理の奥底を描く。

『湿地』ではアイスランドというお国柄でも読ませたが、今回の『緑衣の女』もアイスランドの風土(地域性)、時代ともあいまってさらに興味深い。人と自然は実に密接に繋がっている。

同時に主人公である捜査官エーレンデュルは薬物と妊娠で死の淵をさまよう彼の娘エヴァ=リンドとも向き合うことになる。事件の捜査と平行するエーレンデュルの実生活と過去が事件と同等に重くのしかかる。

こんなふうに書くと重くて暗くて希望が見えなくて誰にでも勧められる小説というわけにはいかないが、それこそ作者アーナルデュルが読者へ向かい合う姿勢であり、魅力となっている。柳沢由実子さんの訳もすぐれている。



|

« 海にて | トップページ | ナンダコレ? »

② 見て聴いて読む!」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 海にて | トップページ | ナンダコレ? »