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2013年2月20日 (水)

歓喜の仔

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天童の小説は『永遠の仔』『悼む人』と読んできたが今回の『歓喜の仔』(天童荒太著・幻冬社・2012年11月刊)は最も好ましく、すぐれている。『永遠』には無理を感じたし『悼む』は聖人臭い。天童の小説の設定はいずれの登場人物もぎりぎりで極端で孤独なので、読む側にとっては好き嫌いが激しくなる。

『歓喜の仔』は兄、弟、妹の兄弟の物語。それぞれが主人公を果たせるくらいに性格も行動もよく書けている。加えてこの物語を膨らませているのは兄である誠の想像上の分身リートの存在。誠の悩みや決断に合わせて分身リートも国の置かれた戦乱という状況の中で身を処してゆく。このサイドストーリーの絡ませ方がはじまりも終わらせ方も秀逸だ。

幻冬社の新聞広告はいつも大きく露骨過ぎてこれはちょっとと思うが、中にはうまく咲く大きな花もある。天童の『歓喜の仔』はそんな作品。





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