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2013年1月23日 (水)

老人とネギ

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昼になると老人はまな板に向かう。隣りのコンロでは鍋から湯気があがっている。今しがた吹きこぼれそうになったお湯に水を注したばかりなので、そばはもう少しでゆで上がる。老人は包丁を裁断機のように真上から押し付けネギを切る。

少し硬めに茹でたそばをザルに落とし水で洗う。真冬の水道水なので手を使わず蛇口からの水で洗う。水を切り、竹すに盛りつける。のりは不要だ。

つゆにはわさびと七味、そして肝心のネギ。生き方すべてにダイナミックな老人は七味の瓶を振って、瓶ごと椀に突っ込んでしまうことがある。家族も慣れたもので何も言わない。何ごともなかったように老人は平然とそばをすする。あまり見事にすするので孫に褒められたことさえある。そばのすすりっぷりなら誰にも負けないが、ネギの切り方はまるで上達しない。それでも、老人は毎日ネギを切る。



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