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2012年10月 5日 (金)

光圀伝

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冲方丁(うぶかたとう)の『光圀伝』(角川書店)、小説でしか成しえない魅力ある光圀像が描かれている。テレビ<水戸黄門>の黄門という悪くを挫く正義のイメージを払拭し、読む者の目を開かせる。父・頼房による幼少期の光國(光圀となるのは後年)へのもの凄いお試し(次の藩主としてふさわしい器かどうかを試す)からはじまり、成長期の出会い、学問や歌への傾倒、後の史編纂(大日本史)と題材がすべて見事に構成されている。加えて、光國自身の世子(跡継ぎ)となることへの悩みとそのことへの回答が大きな柱となって物語を貫いている。

以前のブログで映画<天地明察>に触れた際、映画として迫るものが足りない、毒が欲しいと勝手なことを言ったが今回、冲方丁の作品(作風)を読んである意味、納得した。冲方作品の主人公には良き師があり、かつライバルとなる個性豊かな友人がいて、とにかく旺盛な知識欲と向上心を持ち、苦難を何度も乗り越える。そこが醍醐味!要は敵や悪といった小説や映画でいう常道や作為は必要がないのである。沖方の主人公はどこまでも内面を含めて自分と戦うのである。

高校生くらいの年代でこんな小説に出会えたら、もっと日本史に興味が湧いたのにね。


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