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2012年10月14日 (日)

勇気百倍

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冲方丁(うぶかたとう)の『光圀伝』(角川書店)が良かったので、『天地明察』(同文庫)へ目を通した。主人公の碁打ちである安井算哲の青春時代から新しい暦となる授時暦完成までを描いている。

時代小説としての冲方の作風はこの作品ですでに完成している。文章の最初にその章のポイントを持ってくるし、難しい単語は多様するし、登場人物たちの内面や感情はそれほど重く描いていない。算哲に関して言えば、動作といい言葉とい、これはアニメ主人公のキャラクターのようである。それが冲方の豊富な知識の上で動かされるので、そのギャップが魅力である。

今回の『天地明察』では映画でもそうだったが“北極出地”に同行する建部、伊藤に味がある(コミカルさは映画の方がよく出ていた)。また、会津藩主である保科正之が念願した藩主像がいい。冲方の筆にかかると藩主や大老たちの役割りや働き(生態とも言う)がよくわかる。

長い苦難の末、改暦への光明を見い出した春海(算哲)が「士気凛然、勇気百倍」と口にする。知識、究明を求める青春の息吹きを感じさせる時代小説である。


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