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2012年7月28日 (土)

坂道を上って

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20代の半ば、勤めた会社は駅から歩いて数分の距離で坂道を上がったあたりにあった。会社は本社と第2ビルがあり、坂道の上のビルは第3ビルと呼ばれた。初めて勤めた会社だったが仕事内容は変化があり―出勤したら、いきなり地方へ出張と言われるような―それなりに楽しく過ごした。夏は高原でトマトジュースのキャンペーンをやったり、子どもたちに人形劇を見せるため全国キャラバンを制作したりした。

2、3ヵ月もすると仕事にもそれなりに詳しくなっていった。しかし、外で騒いでいる時(仕事をしている時の意味)はいいのだが新しい企画に取りかかると毎晩のように帰宅は最終電車や泊まりになった。何度となく会社の応接室で朝を迎えたりもした。充実と疲労は同時に進行しつつあった。この頃になると会社へ向かう途中の坂道もきつくなっていく。あれはどうしよう、これもうまく進んでいないなと考えながら坂道を上った。

ある給料日の昼食時、総務課長から声をかけられる。「ちょっと先にうなぎを食わせる店がある」と。誘われるままに出かけ、食べたうなぎはとてもおいしかった。漆器に入った松のうなぎだったと思う。普段食べているランチの6倍の金額!以来、<給料日にはうなぎを食べろ!>がぼくと同僚の合言葉になった。

山ノ手線から私鉄に乗り換え一つ目の駅。有名なお不動さんが近くにある駅を2年近く利用した。駅、坂道、会社、徹夜、時にうなぎの日々だった。

“うさぎ追いしあの山、うなぎ高しこの夏”である。


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