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2012年4月 9日 (月)

犯罪

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フェルディナント・フォン・シーラッハの『犯罪』(東京創元社・刊)は11の短編からなる文字通り犯罪を切り口とした小説である。犯罪者を扱うというよりは結果としての犯罪そのものを淡々と列挙し、その心理に立ち入ることはしない。それらの事件に弁護士として関わるスタイルで小説は描かれる。

犯罪を扱う小説の大半はどのような形にしろ犯罪者の心理を追うことが多いが、この作家は犯罪の客観的な事実からその人間の孤独、空虚、闇、不合理、攻略といった感情を浮かび上がらせる。この作者には機智がある。

もうひとつ特徴的なのは舞台がドイツ(ヨーロッパ)であること。国の政策や内乱などで移民が生まれ、他の国々に根付いた現状がある。信仰や考え方のまるで違う他者がすぐ隣りで生活していることになる。人は分かり合えるのか、決して分かり合えないものなのか、ましてや移民である。

作者自身が作家と弁護士をしていることから、その実務と経験がこの短編集に生かされている。




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