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現在、フランスのニースで行われている世界フィギュアスケート選手権。そのショートでアメリカのアリッサ・シズニーはジャンプを2度失敗し、演技終了後、涙を見せた。それでもなお、彼女が見せたスピンはとても美しかった。この演技で使われた曲はエデット・ピアフの「バラ色の人生」。曲に合わせたピンクの衣装でシズニーは転んでしまった。
エデット・ピアフを語るに欠かせない歌が「愛の讃歌」である。
♪青い空が落ちてきても
この大地が崩れても
あなたに愛されていればどうでもいいの
世界のことなんか私は知らない
(中略)
国も捨てましょう
友だちも捨てましょう
もしもあなたが望むなら
トずいぶん威勢がいい。
そのピアフがこの歌を捧げた相手がミドル級のボクシング世界チャンピョン、マルセル・セルダン。1949年10月27日、ニューヨークで公演中のピアフに会うため(試合の予定もあった)マルセルはパリからプロペラ機に乗る。しかし、飛行機は大西洋上のポルトガル領アゾーレス諸島、サン・ミゲル島の峰に衝突し散乱、生存者は一人もいなかった。事故は濃霧のせいと言われている。
エール・フランスに乗る直前、同じ飛行機に乗り合わせた乗客とマルセルは写真を撮られている。その写真に納まった相手がアメリカへ演奏旅行に向かう女性ヴァイオリニストのジネット・ヌヴーである。写真を見るとヌヴーのストラディヴァリウスをマルセルが手にしヌヴーが目を丸くしている・・が談笑のように見える。ヌヴーは1919年生まれだから、30歳で亡くなった。15歳で名のあるコンクールで優勝し、第二次世界大戦を挟んで活躍、この事故で亡くなった。他の写真に残るヌヴーはとても意志の強い目をしている。
ヌヴーはヴァイオリン教師でもある母に幼い頃から手ほどきを受けた。つまり、鍛えられた。7歳でブルッフのヴァイオリン協奏曲を弾きパリ・デビューを果たした。ヌヴーが好きだった花はカーネーション。色はたぶん、燃えるような赤。
そして、NHKの朝のドラマ<カーネーション>が終った。夏木マリ、たいしたものである。
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参考文献) 『ヴァイオリニスト33』(渡辺和彦・著、河出書房新社)
また、“ヌヴーが好きな花はカーネーション”というのは筆者の創作。
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