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2011年11月20日 (日)

談春の汗 

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談春の落語を聞きに、イナカーナ空港にほど近い海を臨む温泉街へ。海を一望できる旅館の小さなホールで椅子に座った。幕が開くと高座は一メートルほどの高さにあり、そこに座った談春が観客の顔を見渡せる具合になった。

最初の噺は江戸から旅に出た男三人が馬子の紹介で宿に泊るというもの。宿の仲居の描き分けをどれだけ出せるかがポイント。客席に女性が多く、受けるのだが・・・あまり、いいとは思えなかった。それを微妙に感じたのか談春、休憩に入らず座布団から身を乗り出し、ざっくばらんな楽屋話をはじめる。

テレビに自分が出ない理由。なぜ、自分の会は客入りがいいのか。立川談志が師匠であったため滅多にできない体験など・・。ものの見事に観客の心を掴む。これらの話で時間が押し、休息後に残された時間は25分。

「酒の噺でもしましょうか・・」ではじまったのが<禁酒番屋>。禁酒令の出た家中で酒好きの武士から酒を頼まれた酒屋の手代たちが酒をカステラと偽り番屋(持ち込む物を取り締まる)を通り抜けようとする話。手代たちと番屋の吟味役たちとの攻防が見世物である。カステラの中からトックリを見つけた吟味役は「これは、水カステラでございます」と答えた番頭の言い逃れに、ここぞとばかり味見をする。この噺を私は五代目柳家小さんで(しかも、ラジオで)聞いて身をよじった覚えがある。吟味役小さんの飲みっぷりが目に見えるようだった。

談春の<禁酒番屋>も小さんの流れを組んでいる。手代がカステラの箱を引き取ろうとした際、思わず「ドッコイショ!」と言ってしまうことで発覚してしまう。談春で惜しいのは本人が酒飲みに見えないところだろうか。それでも、これだけ笑いをとるのだから、噺のつくりと談春の演じ方が巧いのだろう。

会がはじまった頃から会場はとても暑かった。談春も手ぬぐいで何度となく汗を拭いた。腋の下あたり、着物までうっすら汗を滲ませた。最初の噺が終わるとすぐに談春が窓を開けてと依頼し、入り口廊下に面した窓が開けられた。もう、すっかり日が落ちた外の暗闇から冷たい風と共に砂浜に打ち寄せる波の音がザッ、ザザーと会場に忍び込んできた。

次に機会があれば談春の人情噺こそ聞きたい。

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コメント

談春の独演会、なかなか良かったと思います。
江戸っ子ってぇのはイイねぇ…と、上手い噺を堪能しました。
ただ、お会い出来なかったことが残念でした。

☆坐花酔月さん こんばんは
寄席でダラダラも味わいがあっていいのですが
こういう独演会も真剣勝負でいいものですね
すみません、お会いできるかと捜したのですが
大変、失礼しました
またの機会を・・
<グールドの帽子>

投稿: kojima | 2011年11月20日 (日) 22時48分

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