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2011年7月25日 (月)

紫陽花の夏

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原田芳雄が亡くなった。もう、ずっと昔、ある大学の学園祭で彼のライブを聴いたことがある。ディランⅡの<プカプカ>や美空ひばりの<りんご追分>が印象に残っている。<りんご追分>では歌の合間にセリフが入るのだが、原田はそれを勝新太郎の座頭市のセリフに変え、会場を沸かせた。

「おれたちゃナ、ご法度の裏街道を歩く渡世なんだぞ。いわば天下のきらわれもんだ・・」セリフの通り、原田は独立系の言わば予算の少ない映画でアウトローとして存在感を十分に示した。独立系なので上映する映画館は少なく、小さなドームだったりもした。それだけにそこまで足を運ぶ観客は熱心なファンだったと言える。

学園祭のライブ、バーボングラスを片手に原田は「あれは、いったいなんなんですかね!」とこの頃、出はじめたプチトマトに不満をぶつけていた。あの小ささに、存在する意義に、或いは皿の上でのプチトマト自身の立ち位置に、アウトローはどうしてもプチトマトが許せないようだった。

新宿駅東口から少し歩いた場所にある有名な本屋。その本屋近くの居酒屋にこれも昔、友人と入ったことがある。着いたテーブルのすぐ近くに座っていたのが黒いサングラス姿の原田だった。松田優作もそうだが当時のアウトローは夜でもサングラスで世にはばかることになっていた。
待ち合わせ時間より早く来たせいか、ひとりテーブルに座る原田はどこかぎこちなく時間を潰していたと記憶している。

近年のテレビドラマでは<不毛地帯>(フジ)の豪胆な商社社長、<火の魚>(NHK)で
の作家が良かった。<火の魚>での路地でポリバケツを蹴飛ばすシーンのなにげなさ。また、最後のセリフ「あぁ、タバコ吸いてぇー」が役である作家以上にその人となりを匂わせた。野太い声とぶっきらぼうがこれほど似合う役者もいなかった。

遅い紫陽花が咲く夏。

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