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2011年2月 7日 (月)

き・こ・と・わ

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朝吹真理子・著『きことわ』(新潮社)、確かに、わからない題名ではある。題名をはじめて聞いた時、“こときわ(事ノ際)”かと思った。まあ、読む人の楽しみとして解説はしない。

ふたりの少女の回想とその25年後の再会が作者の豊かな言葉で語られる。夢のような、夢でないような、ふたりの記憶やその違いが交互に出てくる。

記憶なんてそんなものだと思うが語り口は作家で異なる。それはスタイルと言える。朝吹はその点、見事に仕上げている。朝吹は確か今大学院生だから、この『こときわ』に出てくる少女ふたりの過去と現在の中間地点にいる。だから、描ける世界があるとも言える。

カップラーメンの残りのスープ(汁とも言う)にご飯を入れて食べるくだりも出てくるが、どこの子どもも同じだなと思わずニンマリ。里帰りした時のメイ・ヨークなどはお気に入りの出前のラーメンスープを必ず再利用をする。

人の嗜好は思い出に印象深く、刻まれている。そんなものだ。それが少女から大人になったふたりの現在を否定することなく静かに語られ、小説となった。

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