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2010年12月22日 (水)

役所の顔

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映画『最後の忠臣蔵』を見る。池宮彰一郎の原作は以前読んでおり、忠臣蔵の(それが作者のフィクションだとしても)知られざる後日譚を描いている。作者独自の視点が見事だったと記憶している。

この映画は全てにおいてとても丁寧に作られている。孫左衛門の暮らす家は鄙びているし、仏壇の間の畳も粗末なもの。衣装もいい質感を出している
。CGの凄さやストーリーが急展開する映画とはまるで逆の“静”に満ちている。最初は退屈に思えるかもしれないが、見ているうちにこれでいいと思えてくる。唯一、人形浄瑠璃が説明過ぎる、長すぎる。少し鼻につく。

武士は階級なのだなと改めて思う。最後の婚礼のシーン、大石をはじめとする討ち入りの全貌を後世に伝える役目を託された足軽、寺坂吉右衛門(佐藤浩市)は末席だし、大石の忘れ形見の娘、可音を慈しみ育てた大石家の用人、瀬尾孫左衛門(役所広司)の席は下から二番目の席である。討ち入りで大石から命(めい)を託された武士はこれほどまでに下級の武士であった。要は位が上の武士は討ち入り後、切腹という名誉を受けることができた。瀬尾という主のいない座布団のカット、それを見せた演出と脚本はこの映画の力である。

それにしても役者は顔である。大石の残した娘、可音(桜庭ななみ)の思慕や決意の表情、主役である孫左衛門(役所)の回想と役目を果たすその表情で映画はこれほど豊かに、かつ切なくなり得る。

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