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2008年12月12日 (金)

フクミミ 16歳

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TBSの番組で亡くなった筑紫さんが東京大空襲のレポートをされており、
その内容は空襲直後に撮影された写真を扱ったものだった。
過去を語ることのないフクミミだが何かのきっかけでその
青春時代を話すことが年に一、二度くらいある。
今回は11月の私の東ノ都行きが過去の扉を開けたらしい。

1945年(昭和20年)、横須賀で潜水艦の通信訓練を受けるため、
3月20日過ぎフクミミはイナカーナから夜行列車に乗り、
翌朝着いたその足でウエーノ公園に向かった。
そして、フクミミは言葉もなくただ呆然と眼下の東ノ都を見渡した。
下に広がる街々は一面瓦礫と化し、遠くに国会議事堂が
その姿を保っているのが見えたそうだ。
東ノ都大空襲はフクミミが見た日から十日ほどさかのぼる3月10日であり、
この時の光景は16歳のフクミミに強い印象として残された。
ウエーノから国会議事堂まで直線距離にして5キロほどである。
空襲は東ノ都の下町を焼け尽くしていた。
「ウエーノはあんな高さでも山であった」とも語った。

この後、行った先の横須賀の潜水艦訓練所もすぐに閉じられ
フクミミは次の地へ移動させられる。
この年の八月、フクミミは富山で塹壕(ざんごう)を掘っている最中に
終戦を迎えた。夏も盛り、蝉が激しく鳴いていたに違いない。
あわただしくフクミミはイナカーナへ帰郷となる。
貧しく進学することもかなわないで、一農業青年への道を歩むのである。

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