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2008年9月23日 (火)

出星前夜

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高校生の時、世界史を選択したため、日本史は表面だけで中味にはうとい。
もっとも世界史も同様に受験のため教科書と参考書の丸暗記でしかなかったので、
歴史そのものへの興味を持つ機会もなく年月は過ぎた。人は簡単に老いる。
そして、海外旅行する機会があってはじめて塩野七生『ローマ人の物語』などの
書籍を手に取ることが多くなった。
今回読んだ小説『出星前夜』が題材をとった<島原の乱>からは
天草四郎くらいしか出てこないでいた。

前作である飯嶋和一著『黄金旅風』を読み終えた興奮のまま、本屋に走った。
『黄金旅風』では江戸初めの長崎を舞台に庶民を守る二人の若者を描いた。
海外に開かれた長崎を舞台にしているだけに登場人物の視野は広く、
二人の主人公は火事、貿易を通して長崎の人々を災害や権力から守る。
今回の『出星前夜』は『黄金旅風』から数年後、島原の乱に題材をとっている。
度重なる米の不作で島原の村々の飢饉は目に見えている。
支配する藩は農民にことごとく無慈悲で、政策などまるでない。
藩の圧制にキリシタンを中心とした農民が死覚悟の蜂起をする。
著者、飯嶋和一は漢方の知識といい、米の徴収がどのように行なわれたか、
また戦法とはどういうものかと読む側を納得させる筆力がある。
いずれも念入りな取材があったことをうかがわせる。
覚えきれないほどの人物を出し、次々変化する戦さの状況を描写する。
主人公の心情を最小限に留め、行動や事物を通してたたみかけ、
島原の乱とは何だったのかを俯瞰する。
最初は人物をはじめ漢字が多くて読み進むのが大変だが
慣れるとこれもいいリズムに変化する。
前作から四年この作品だけに時間をかけている。
入魂とはこういう作品である。

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コメント

おはようございます♪
島原の乱の舞台となった原城跡
海風の中で粉々に打ち砕かれて埋められたその場所に
立つとなんともいえないなにかを感じます
原城のあるところは島原から更に遠くこんなところまで
幕府軍が来たことに驚くようなところです
『出星前夜』読んでみたいですがなになに漢字が多くて
覚えきれないほどの登場人物・・・
睡眠導入本間違いなし

☆エフさん おはよう!
『黄金旅風』『出星前夜』を読んで長崎、島原に旅行したくなりました
簡単には行けないのでネットで島原の写真を見ては
思いを馳せています
長崎カステーラ、皿うどん、ちゃんぽん、食べたい!

確かに飯嶋和一は漢字、人物が多い
かつてグールドも挫折しました その挫折を乗り越えると
それは凄い歴史と素晴らしい人物に出会える
『黄金旅風』の平蔵はいいですよ 文庫本になってた筈だ
<グールドの帽子>

投稿: エフ | 2008年10月 3日 (金) 08時35分

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