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2008年5月15日 (木)

映画<ノー・カントリー>を観た

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最後のクレジットではため息が出そうになった。
「最近の犯罪は理解できない」
保安官(トミー・リー・ジョーンズ)のナレーションで映画は始まる。
麻薬取引の現場近くに残されたカバンの中には200万ドル。
二億一千万くらいか。
金を見つけた男は逃げ、組織から殺し屋が出され、
保安官は及び腰で捜査にあたる。

冒頭から微妙に画面が斜めで
不安と緊張感が画面を支配する。
逃げる男が犬に川で追われるシーンは秀逸だ。
どうやったらこんな凄い映像が撮れるのか。
監督であるコーエン兄弟が見せる映像は見事だ。
ギョロ目、オカッパ頭、酸素ボンベの殺し屋は殺す、殺す、殺す。
判断できない時はコインの裏表にゆだねる。
あの髪型はアカデミー助演男優賞獲得に多大な貢献をした。
殺し屋のキャラクター設定が巧みである。
モーテル、ホテルにおける逃げる者、
追う者両者の策略と攻防に目を見張る。

さて、もう一方、追う保安官は
<逃亡者>でFBIの指揮を颯爽と執り、
インディ・ジョーンズを追い詰めていた頃はイカシていた。
その後、宇宙人相手にジョークをかましたり、
確かクリント・イーストウッドと月へもいったはずだ。
最近は極東の国の缶コーヒーのCMで田植えまでする。
目の下のたるみとシワでギャラが取れるトミー・リー・ジョーンズ。
彼が演じる保安官も今時の犯罪を捜査するには老いた。
銃があり、人がいる、犯罪は止まらない。
それに火をつける金への欲望で人はいくらでも愚かになれる。
原題が「ノー・カントリー・フォー・オールド・マン」だから
老人が(安心して)住める国はない、だろうか?
銃こそないが年金、後期高齢者とこの国も同じ。

少しの効果音だけで音楽を使わず映像だけで
見せることができる映画である。
静かで不気味で上映中ずっと息を殺す。
監督の力量はこうも大きいし、彼らの見せる世界観が
見るものを良くも悪くもうならせる。
私の好きなキューブリックよりずいぶんオタク大人している。
このような内容だからもう一度見るかどうか判断に迷う。

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