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2008年2月16日 (土)

彼女は泥んこ遊び

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メイ・ヨークは確か五歳からピアノをはじめた。
黄色のベレー帽を被ったヒヨコの時代だ。
その頃、彼女は泥んこ遊びにはまっており
近所の奥様とオママゴトで食事の準備にいそがしい。
やがて、泥や砂、草の料理は完成し、
「アーラ、奥サマ、コチラモ召シアガレ!」
「奥サマコソ、コノ、オヒタシ、オ口ニ合ウカシラ?」
奥サマ予備軍はお互いの料理を勧めあう。
たぶん、その後の話題は自分の子供の躾について。

その夜、メイ・ヨークは
満面の笑みを浮かべピアノを弾いていた。
真っ黒なアップライトピアノの前で
桃色チャンチャンコを着たメイが前後左右に揺れる。
当時、チェルニーまでは進んでいなかったかもしれない。
なにげに見ると、鍵盤を叩く彼女の両手の指すべて、
その爪の中には見事に泥が残っている。
そんなこと、かまうもんかぁーーー。
園児メイ・ヨークは嬉々としてピアノに向かう。

ヒヨコから中人に成長したメイ・ヨークに
「ピアノって難しくありませんか?」
私はインタビューしたことがある。
「難しいから、ピアノは面白いのー!」
メイは明解に答えた。
ふむ、なるほど。
メイ・ヨーク弾くベートーヴェンの<悲愴>を
何百回となくメイの家族が聞くはめとなるのは、
この発言から三年後のこととなる。

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